005

労災保険制度、皆様ご存じですよね。
労働中(業務上)のケガや、万が一亡くなってしまった、後遺障害が残ってしまったという時に、給付される制度です。

私の比較的得意なジャンルでもあり、ちょうどお客様からご質問を受けたので整理してみようと思います。

労災保険制度の対象者は、労働基準法の第9条で以下のように定義されています。

「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」

つまり、正規雇用や臨時、パートアルバイトを問わず、全ての労働者の方が対象となるわけです。

「使用される者」ということは、「使用する」側である事業主の方は労災保険制度の対象外ということになります。

事業主の方々も仕事中に、ケガをされることありますよね?
しかし、残念ながら手厚い労災保険のサポートは受けられないということになります。
(救済として、特別加入制度がありますが、今回は省略)


ご質問のポイントは、
「事業主の方が仕事中にケガをし、病院で治療を受けた場合は健康保険が使えるか?」
というものでした。健康保険とは、病院に行くと3割負担ですよ~というお馴染みの制度ですね。

ご存じの方が多いかとは思いますが、以下私なりの回答です。

そもそも健康保険制度とは、業務外の病気やケガをカバーする制度です。

その為、業務中に労働者の方がケガをされた場合、労災保険制度から治療費が支払われます。
つまり、健康保険は使えません。

さて、平成25年10月に健康保険法の第53条の2が新設されました。

(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)
第53 条の2 被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は行わない

簡単にいえば、「役員の人が業務中にケガとかをしても、健康保険の対象外ですよ」というものです。

あれ?
労災保険も対象外、健康保険も対象外、治療費って全額自己負担なの?
となりますよね。そうなんです、全額自己負担なんです、基本的には。

私の記憶だと、確か使える場合もあったはず。
そこで、某健康保険組合に確認したところ、「状況によっては使えることがありますが、具体的な状況は多岐に渡るので掲示できません」という的確な回答が。確かにそうですよね。
(非常に丁寧に回答していただき、ありがとうございました)

改めて結論としては
「事業主の方が業務中にケガをされても、治療費は全額自己負担。後遺障害が残っても、死亡されても労災保険ではサポートできません」
ということになります。


では、このリスクに対してどのように備えるのか?それとも準備しないのか?
いろいろな方法がありますので、業種や会社の状況に応じて検討したいですね。

この記事を書いた人

森田 耕司(株) 森田保険事務所 / シニアコンサルタント
新潟県上越市生まれの40歳。
青山学院大学理工学部卒業後、米国外資系の情報通信会社にてエンジニアとして9年間在籍した理系脳を生かして、大切なことを分かりやすくお伝えすることに日々邁進中。

<保有資格>
 ・2019年度 MDRT成績資格会員
 ・日本FP協会 2級ファイナンシャルプランナー
 ・住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー
 ・日本損害代理業協会認定 損害保険トータルプランナー
 ・生命保険協会 トータル・ライフ・コンサルタント